パンデミックの概要

更新: 2018年11月

パンデミックとは

パンデミックとは、病気の世界的な流行です。 各世紀にはヒトインフルエンザのパンデミックが数回発生しており、何百万人もの人が被害を受けています。 前回のインフルエンザのパンデミックは2009~2010年に発生し、専門家はパンデミックの再発生は避けられないと述べています。

パンデミック発生の経過

ヒトインフルエンザのパンデミックは、次のような特性をもつ新しいウイルスの出現によって発生します。
  1. ヒトが免疫をもっていない、またはあまり免疫がない 
  2. ウイルスが深刻な疾病や死を引き起こす可能性がある 
  3. ウイルスがヒトからヒトに簡単に感染する 
これらの 3つの条件が満たされる場合、ウイルスは全世界に広がる可能性があります。 パンデミックの深刻さはウイルスの特性によって異なります。 一部のウイルスは他のウイルスよりも感染した場合に症状が重くなり、強い感染力をもっています。 

20世紀と21世紀のインフルエンザパンデミック

20世紀にはパンデミックが3回発生しており、特に「スペイン風邪」が最も深刻なものでした。

1918: スペイン風邪は第1次世界大戦の直後に発生し、約15カ月間続きました。 このパンデミックが発生したのは飛行機による旅行が一般的になる前でしたが、流行は2カ月以内に世界中に広まり、 世界的な大惨事となりました。 世界中の人口の約30パーセントが感染し、約5000万人もの人々が死亡しました。死亡例の多くは、発症から48時間以内に死に至っています。 このパンデミックはインフルエンザAのH1N1株によって引き起こされました。このウイルスの元の感染源は、北フランスまたは米国ではないかと考えられています。 現在みられる季節性インフルエンザの1つの株は、このウイルスが変異したものです。 

このパンデミックでは、感染の波が数回にわたって発生しました。 第一波はヨーロッパ、アジア、アフリカ、米国で発生し、 WHOはこの第一波を「特に致命的なものではない」と説明していましたが、第二波では感染者が大幅に増加し、死亡者も多数発生しました。 

スペイン風邪による死亡者は、特に15歳から35歳の若年層に多く、幼児、高齢者、身体の弱った人々にも見られました。 このパンデミックでは、抗生物質や予防接種は利用できませんでした。 隔離によって感染の世界的な広がりを阻止することはできませんでした。ただし、オーストラリアは地理的に孤立しているためにウイルスがすぐには伝播しなかったと考えられ、 オーストラリアは1919年までこのウイルスの被害を受けることはありませんでした。ウイルスがオーストラリアに到達した時点では、既に伝染力が弱っていたためです。ただし、その後も長期間にわたって感染力が持続していた可能性もあります。 

1957: アジア風邪 アジア風邪を引き起こしたウイルスは、最初に極東で確認されました。 このウイルスはインフルエンザA/H2N2でした (現在、この株はヒトの間で循環していません)。 65歳未満の人々の免疫率が低かったため、科学者がパンデミックの発生を予測することができ、1957年8月にはワクチンが提供されました。 このパンデミックでは流行の波が何回かあり、ほとんどの死亡例は1957年9月から1958年3月の間に発生しました。死亡率が最も高かったのは高齢者でした。 

1968: 香港風邪 1968年初めに、インフルエンザパンデミックのウイルスが香港で初めて確認されました。このウイルスはA/H3N2株でした。 このパンデミックは1968年9月から1969年3月まで続きました。このウイルスによる死亡例は1968年12月と1969年1月にピークに達しました。65歳を超える患者のほとんどが死亡しています。 このウイルスの株は、現在も季節性インフルエンザとして循環しています 

2009-2010: 豚インフルエンザ(後にパンデミック(H1N1)2009と命名) 21世紀最初のパンデミックは、2009年4月から2010年8月にかけて発生しました。このウイルスは、妊娠中の女性に感染した場合に重篤な症状を引き起こすことがありましたが、それ以外はほとんどの場合一般的なインフルエンザと同様の症状で、世界中で季節外の大流行を引き起こしたものの、軽度の疾患と考えられています。 このウイルスの株は、現在も季節性インフルエンザとして循環しています

次のパンデミックを引き起こすウイルス

鳥インフルエンザAのH5N1とH7N9およびMERSコロナウイルスは、上記の条件のうち最初の2つを満たしています。 現在のところ、これらのウイルスはヒトからヒトへ容易に感染することはありません。 ただし、今後の変異によってヒト-ヒト感染が起こりやすくなると、パンデミックを引き起こす可能性があります。 次のパンデミックを引き起こすウイルスの株、感染が広がる速度、症状の重篤度を予報することは不可能です。 また、発病と死亡の危険性が最も高くなる人口集団もわかりません。 

判明している事実

インフルエンザのパンデミックは、波状に広がります。 流行の波は数週間から何か月間にわたって続く可能性があります。 隔離やその他の公衆衛生対策によって感染の速度を抑えることは可能かもしれませんが、世界的な広がりを阻止できる可能性はあまりありません。 パンデミックの最初の数カ月はおそらくワクチンもなく、新しいパンデミックウイルスに対して効果をもつ抗ウイルス剤があるかどうかはわかりません。 

従業員本人の発症、あるいは発症した家族の看病をするための欠勤により、事業が多大な影響を受ける可能性があります。 学校が一時閉鎖されたり、大規模な集会が中止されるほか、管轄区によっては公衆衛生当局により渡航制限措置がとられる場合もあります。

パンデミック対策計画

パンデミック計画は、このような影響を軽減することが期待されます。 医療や基幹サービスなど一部の産業にとって次のインフルエンザパンデミックの計画を立てることは重大であり、また義務であるとも言えますが、すべての組織においてもリスク評価を実施し、事業継続計画にインフルエンザパンデミックの脅威が含まれていることを確認することが求められます。